線条体神経変性に伴う受容体のup-regulationを発見

ハンチントン舞踏病はパーキンソン病と同様大脳基底核の神経変性疾患のひとつです。パーキンソン病が動きたいのに動けないという症状を呈するのに対し、ハンチントン舞踏病は動きたくないのに踊るような不随意運動を呈します。この写真は、ハンチントン舞踏病のモデル動物の、興奮性シナプスのグルタミン酸受容体を、20nmの金粒子で、抑制性シナプスのGABA受容体を10nmの金粒子で可視化したものです。解析の結果、GABA受容体の数が神経変性側のシナプスで増加する、up-regulationが起きていることを発見しました。このup-regulationは、神経変性による神経伝達物質の減少を補填した現象だと考えられますが、この伝達物質と受容体のアンバランスが不随意運動の原因である可能性も示唆しました。

線条体神経変性に伴う受容体のup-regulationを発見

本研究に関する発表論文

  • Fujiyama F, Stephenson FA, Bolam JP/ Synaptic localization of GABA(A) receptor subunits in the substantia nigra of the rat: effects of quinolinic acid lesions of the striatum. Eur. J. Neurosci. 15(12), 1961-1975, 2002