大脳基底核の入力部位である線条体は、大脳皮質および視床から興奮性入力を受けている。一般的に、興奮性シナプスにおいては、シナプス後膜に存在するイオンチャネル型のAMPA型グルタミン酸受容体が、興奮性シナプス後電位を引き起こすことが知られている。本論文では、まず大脳皮質および視床から出力する興奮性終末が、異なるタイプの小胞性グルタミン酸トランスポーターを使っていることを明らかにした。この所見を利用して大脳皮質および視床からの興奮性終末を識別したうえで、凍結置換によるpost-embedding免疫電験法を用いて、線条体および大脳皮質内部のAMPA型受容体の分布を解析した。この結果、大脳皮質内部のAMPA型受容体はシナプス後膜に存在するのに対し、線条体内部の、大脳皮質および視床から入力する興奮性終末では、AMPA型受容体が、シナプス前膜にも存在することを発見した。
本研究に関する発表論文
- Fujiyama F, Kuramoto E, Okamoto K, Hioki H, Furuta T, Zhou L, Nomura S,
Kaneko T.
Presynaptic localization of AMPA-type glutamate receptor in corticostriatal and thalamostriatal axon terminals.
European Journal of Neuroscience 20(12), 3322-30, 2004.