グルタミン酸とGABAは、各々、興奮性および抑制性伝達物質として知られている。しかし、グルタミン酸は、GABAの前駆体でもあるため、グルタミン酸を免疫組織化学で可視化しても、興奮性神経終末を特異的に識別することはできなかった。2001年(Fujiyama et al., 2001)に報告した小胞性グルタミン酸トランスポーター (VGluT) は、興奮性神経終末において、グルタミン酸をシナプス小胞に取り込む因子であるため、興奮性神経終末を特異的に可視化することができる。本総説は、このVGluTの二つのサブタイプについて、生化学的および電気生理学的な特性を解説するとともに、光学および電子顕微鏡学的解析によって、中枢神経系がこのサブタイプをどのように使い分けているのかを示唆したものである。
本研究に関する発表論文
- Kaneko T, Fujiyama F.
Complementary distribution of vesicular glutamate transporters in the central nervous system.
Neuroscience Research 42(4), 243-250, 2002.