視床は線条体のパッチ(ストリオソーム)領域を避けていることを明らかにした

大脳基底核の入力部位である線条体には、パッチ(ストリオソーム)・マトリックスという生化学的なコンパートメント構造が存在し、強化学習を考えるうえでの役割分担も注目されている。本論文は、視床から線条体への入力と、このコンパートメント構造との関係を、初めて明らかにしたものである。まず、小胞性グルタミン酸トランスポーターを利用して大脳皮質および視床からの入力を識別したうえで(Fujiyama et al., 2002)、蛍光および電子顕微鏡を用いた免疫組織化学を用いて、視床から両コンパートメント構造への入力は、投射量のみならず、樹状突起のどの構造にシナプスするかという点にも違いがあることを証明した。この違いを単一ニューロンレベルで解明したのが、2017年の、遺伝子改変ウイルストレーサーを用いた研究である(Unzai et al., 2017)。

視床線条体投射(VGluT2)は、パッチ(ストリオソーム)領域に少ない

本研究に関する発表論文

  1. Fujiyama F, Unzai T, Nakamura K, Nomura S, Kaneko T
    Difference in organization of corticostriatal and thalamostriatal synapses between patch and matrix compartments of rat neostriatum..
    Eur. J. Neurosci. 24(10), 2813-2824, 2006