視床線条体投射とストリオソーム・マトリックス構造

視床から線条体への投射は, 主として髄板内核群(とくに正中中心核と束傍核)からおこることが知られていますが, 室傍核や結合核といった正中核群からも少なからぬ投射を受けています。 この視床線条体投射と線条体のストリオソーム・マトリックスというコンパートメント構造の関係では、束傍核からの入力は主にマトリックスに終止するという報告がサルやラットでされていました。一方, ストリオソームに特異的に投射する視床核はネコでは中心線核が報告されているものの (Ragsdale and Graybiel, J Comp Neurol, 1991)、他の動物種では明らかにされていませんでした。私たちは視床から線条体への興奮性入力はマトリックスに比べるとストリオソームへの入力は3分の1程度であることやシナプス構造が違うことなどを報告しており (Fujiyama et al., Eur J Neurosci. 2006)、このことから視床線条体入力においてストリオソームとマトリックス各々に特徴的なネットワークがあるのではないかと考え、膜移行性シグナルをつけたウイルスベクタによる単一ニューロントレースを行いました。その結果、束傍核はマトリックスに優位に、正中核群からはストリオソーム優位に、束傍核以外の髄板内核群からはストリオソームとマトリックスに同程度の投射があることがわかりました。さらに、ストリオソームやマトリックスに特異的に投射する視床亜核の大脳皮質への投射先は、その視床亜核が投射している線条体のコンパートメントに優位に投射している皮質領域であることがわかりました。つまり、線条体のストリオソーム・マトリックス構造は、視床と大脳皮質から、時間差で同質の情報を受け取っている可能性があることが示唆されました。

束傍核はマトリックスに優位に(左)、正中核群からはストリオソーム優位に(右)投射している。

本研究に関する発表論文

  • UnzaiT , Kuramoto E, Kaneko T, Fujiyama F.
    Quantitative Analyses of the Projection of individual Neurons from the Midline Thalamic Nuclei to the Striosome and Matrix Compartments of the Rat Striatum
    Cerebral Cortex 2017.
    DOI: 10.1093/cercor/bhv295