ドーパミン神経細胞を支配する淡蒼球ニューロンをはじめて解明

ドーパミンは運動機能や認知機能の調整のみならず学習や報酬系にも深く関与しており、その制御の解明については重要課題です。近年、大脳基底核の淡蒼球外節細胞がドーパミン細胞群である黒質緻密部に投射することが報告されましたが、淡蒼球外節のどのニューロンが投射し、どのように作用するかは明らかではありませんでした。 本研究では、PV-Creラットを初めて使用し、淡蒼球外節の中でもパルブアルブミンを持つ細胞だけを赤の蛍光タンパクで可視化することで、神経終末が黒質緻密部の特定の領域に優位に分布することを明らかにしました。さらに、淡蒼球外節のパルブアルブミン細胞の活性化によって黒質緻密部のドーパミン細胞が強く抑制されることが電気生理学的に証明されました。 この結果によって、運動や学習における大脳基底核の理解、黒質緻密部の変性疾患であるパーキンソン病の病態への理解の進歩が期待できます。

ドーパミン神経細胞を支配する淡蒼球ニューロン

本研究に関する発表論文

  • Yoon-Mi Oh, Fuyuki Karube, Susumu Takahashi, Kenta Kobayashi, Masahiko Takada, Motokazu Uchigashima, Masahiko Watanabe, Kayo Nishizawa, Kazuto Kobayashi, Fumino Fujiyama.
    Using a novel PV-Cre rat model to characterize pallidonigral cells and their terminations.
    Brain Struct. Funct. 222(5), 2359-2378, 2017.
    DOI: 10.1007/s00429-016-1346-2